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“ 療術のひと ” レポート
あなたの町でも “ 療術師 ” が活躍しています。
育ててくれた地元の人たちに少しでも恩返ししたいという気持ちが大きな原動力となっています。
『なごみ整体院』(長野県茅野市) 院長
中島 里美さん
東京療術学院 心理療術師養成本科
第27期卒業
中島さんは、短大卒業後に、故郷の長野県岡谷市で6年間税理士事務所に勤務しました。ストレスで体調を崩し退職を決意したものの、「東京で勉強してくる」という大義名分がほしいと考えました。実はこの時点で何を勉強するか決めていなかったそうです。たまたま知人から、学院の卒業生で、新潟で開業している塩ノ谷亘秀さんの事を聞き、初めてこの道を知りました。そんなきっかけではありましたが、結果的にはとても向いていたので、本当に幸運だったと思っています。
仕事を辞めて上京するからには、卒業したら何としても「帰郷して開業する」という明確な目的と強い決意を抱いて、学院生活をスタートしました。とにかく、卒業まで「開業」という目的に向かってまっしぐら。学科修了時も卒業前も、進路アンケートの希望欄には「平成14年、長野で開業」としっかりと書かれているのがとても印象的です。授業でも、その後の就職先でも、お手本とする先生の施術を常によく観察しておいたのが非常に役立ったそうです。学院では繰り返し指導を頼んで回り、貪欲に吸収。やればやるほど知識が必要になって、この仕事には限界がなく本当に死ぬまで勉強が続くと実感しています。
卒業後はすぐには帰省せず、修行のために施療院に勤務、そこで副店長となり、他店からもスカウトがくるようになったそうですから、身に付けた技術の確かさがわかります。それで地元に帰って開業する前に、「まずは東京で一度、自分でやれるか試してみよう」と考えました。開業資金協力等知人のバックアップもあって、新宿御苑で開業しました。
ここでは2年半ほど続けました。家賃二25万円、立上げ時のスタッフは5名。いきなり大胆なようですが、都心で開業するのは逆に一人では難しいと中島さんは考えます。競合店が多く、一人で回しきれないと客がすぐに他店に移っていくからです。広告費はフリーペーパーや雑誌のクーポン、ポスティングなど年間100万円ほどで、都心としては少ない方ですが、費用対効果は「+−ゼロ」。
経営の先輩から「家賃は三日で稼げ」というアドバイスを受け、それを忠実に守りました。売上、売上で頑張って人並みに生活はできたものの、貯金を使い果たしてしまったそうです。しかしこの経験によって地元に帰って開業する踏ん切りと自信が付きました。
地元での開業に際しては「人脈に頼らず全てをゼロから始めたかった」。あえて自宅のある岡谷市ではなく、茅野市を選んだ理由の一つです。また、岡谷市が古くから精密機器などで栄えてきた一方、茅野市は元々農業の町で広々とした土地があり、また別荘地として人口も増加傾向で、将来性があると分析したからです。見て歩いた時も「直感で」明るい感じがして気に入りました。自宅からも程よい距離があって良いと思っています。
店舗は茅野市駅前徒歩一分で6坪4万円。御苑で使っていたベッドを持ち帰り、家賃も安かったので開業資金は殆どかかりません。御苑での顧客からのリクエストで最初の2年間は月に3、4日ほど上京して施療を行い、これを地元での運転資金としました。現在、茅野で開業して5年目。広告は電光掲示板。ホームページは役立たないのがわかり、クローズしました。お客様は口コミのみ。特にターゲットは絞らず、小学生から95歳まで。
小学生はいじめなどでストレスを抱え、体が固くとても大変。こういう時は学んだ心理療法も役立ちます。
料金のベースは30分2千円、10分延長ごとに千円追加というシステム。現在のクライアント数は一日平均7〜8人。開業から今日に至る売上は、口コミのおかげで、年間100万円単位で上昇しているそうです。施術は、整体以外でも効果が期待できそうなことは、ほぐし、運動、足ツボなど、何でもやります。どうしたら少しでもよくしてあげられるか?これまで学んできたこと全て総動員です。
経営ノウハウと言っても、規模が小さいし入出金は大まかに決まっているので、会計事務所での経験による専門知識は特に必要ないと言います。それでも言葉の端々には、培われた経営センスが感じられます。
振り返って失敗したと思うことは、御苑で開業していた時に、施療の内容と質にこだわり、まじめにやりすぎたこと。地方ではそれでもいいけれど、東京はイメージ先行≠フところがあるので、たとえば内装やリーフレットなどのイメージ作りにもう少し注力すれば良かったと思っているそうです。 今は、売上増を求めません。次の予約を敢えて強制せず、お客様自身の「今、次回の予約を取っておかなければ」という気持が自然と生まれてくるのを待てば、次々と入るようになってくるそうです。
人付き合いを重んじ、人間性を重視する長野の県民性。諏訪湖周辺地域は、排他性がある反面、身内意識もとても強いそうです。まるで家族や親戚のように自分を育ててくれたお客様たちに、今も大変感謝しています。
常連さんの話を聞くことは楽しく、それが仕事の喜びに繋がります。ただ気をつけているのは施療家としての意識、お客様との関係。上に立ちすぎてはだめだけれど、安く軽くしないようにすることが大切。あえて一線を引く姿勢を崩さないこと。
中島さんの経営理念、そして後輩の皆さんに伝えたいことを尋ねると、第一に「お客様」。御苑時代からも、とにかく施術中はずっとお客様のことを考え続けること、集中し続けること。奉仕の気持ちがないとこの仕事はできない、といいます。育ててくれた土地の人たちに少しでも恩返ししたいという気持ちが中島さんの大きな原動力となっています。
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